☆No.6

2009/08/21

『文庫版 No.6 #5』あさのあつこ

紫苑の身を案じる、母 火藍。

彼女の記憶が紡ぎ出すのは、理想郷NO.6の何不自由ない暮らしの中での、絶望の影。
火藍の言葉に表される、人を人として扱わないNO.6の実態を表すような出来事が、実際に住人たちが息づくそのすぐ側で行われているという事実。
そして皮肉にも、その場に居合わせ血なまぐさい現実を体感している紫苑。

しかし、彼は想像を絶する凄惨な事実に心がくじけそうになりながらも、目的のために歯を食いしばって歩く。
過酷な現実と向き合い、己自身と戦っている。

生きて、記憶して、伝える…
母と息子が、時と場所を違えて同じことを思う。
そんな姿を見ていると、胸が熱くなる…


そして折れそうになった紫苑の心を「おれには、あんたが必要なんだ」と鷲掴みにして引き上げる一方で、"ごめん"と謝る彼に「言葉を免罪符にするな、、もっと尊べ」と叱咤するネズミ。
言葉で紫苑を翻弄するネズミと、その言葉で一喜一憂する二人の関係に萌える…


だが終盤で一瞬垣間見せた紫苑の中にある何か…は、未だにわからないままだ。

NO.6(ナンバーシックス)〈#5〉 (講談社文庫)NO.6(ナンバーシックス)〈#5〉 (講談社文庫)

講談社 2009-08-12

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2009/07/28

『NO.6 #8』あさのあつこ

遂にNO.6の喉元へ刃を突きつけた紫苑とネズミ、二人をひたすら待ち続けるイヌカシと力河、何も知らず不安を抱えたまま翻弄される火藍や莉莉たち、そして絶望を抱えた沙布…それぞれが異なる状況で必死に戦っている。

読んでしまうのがもったいなくて、だけどページをめくる手がもどかしく感じるくらい物語の先を知りたくて…
ある程度予想はしていたけれど、もたらされた現実は苦い塊を飲み込んだようだ。
無意識にそれを認めまいとする紫苑の気持ちが痛いほどわかる。けれど自分がそう行動できるかどうかは別として、沙布がネズミに託した気持ちもわかるのだ。
取り乱した紫苑になじられたネズミが一瞬言葉を失うシーンは本当に胸が痛い。
そしてその直後、前作とはまた違った衝撃に襲われる。
このまま続編を待たねばらなないというのが非常に辛い。

紫苑とネズミの身を案じる火藍の言葉はそのまま自分の気持ちに重なる。
イヌカシじゃないけど、神さまに祈りたくなる…

NO.6〔ナンバーシックス〕#8 (YA!ENTERTAINMENT)NO.6〔ナンバーシックス〕#8 (YA!ENTERTAINMENT)
影山 徹

講談社 2009-07-25

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2008/10/10

『NO.6 #7』あさのあつこ

NO.6の内部に潜入したネズミと紫苑には、想像以上の厳しい展開が待っていた。
失敗すれば死が待つ、ギリギリのところを辛うじて回避して、ふたりは少しずつ上をNO.6の最奥部を目指す。

自分たちが傷つけた者たちに対する紫苑の言葉に戸惑いを隠せないネズミは、紫苑が変わってしまうことを恐れ、紫苑は自分のせいでネズミに危害が及ぶことを恐れる。けれど互いの存在なしには二人は前へ進めない。
相手を守りたいと思うと同時に、守られていると互いに思っている二人に、狂おしいくらい萌える。

絶体絶命の状況で紫苑がとった行動よりも、それを目の当たりにしたネズミの激情に驚かされた。これまで紫苑の優しさや甘さを嗜めていたにも拘わらず、一番救われていたのはネズミだったのかもしれない。

感情と理性が鬩ぎ合い葛藤する二人の熱に引きずり込まれ、ネズミの言葉も、紫苑の言葉も、熱さと鋭い痛みと共に胸をえぐる。
読めば読むほど奥行きが広がっていくような錯覚さえ覚えて、なかなかこっち側に戻ってこられない…(^^;

NO.6〔ナンバーシックス〕#7 (YA!ENTERTAINMENT)NO.6〔ナンバーシックス〕#7 (YA!ENTERTAINMENT)
影山 徹

講談社 2008-10-10

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2008/08/20

『文庫版 No.6 #4』あさのあつこ

沙布の異変を知らされて、無謀だと知りながら紫苑は彼女を助け出そうとする。

ネズミだけなら、イヌカシも力河もこんな危うい話には乗らなかっただろう。そして何よりもまず、ネズミ1人だったら、誰かを助けるために命の危険を冒すという考えにさえ至らなかっただろう。
全ては紫苑がいたから…。

彼の言動が周囲に与える影響を見ていると恐ろしくなる。自分のエゴでここまで他人を巻き込んでもいいのだろうか?そんな風に思ったりするのだが、巻き込まれた者たちは紫苑のせいだと彼をなじることはないのだろう。
それが、彼の魅力なのかもしれない。
脅しも暴力もなしに、人の心に入り込み、真っ直ぐ切り込んでくる紫苑の怖さに慄然とするネズミを見てそう思った。

何かにつけて考えが甘いと叱咤するネズミの言葉で成長した紫苑は、いったいどうなってゆくのだろうか。
そして、捕らえられた二人は沙布を連れて生還できるのだろうか…

NO.6 #4 (4) (講談社文庫 あ 100-4)NO.6 #4 (4) (講談社文庫 あ 100-4)
あさの あつこ

講談社 2008-08-12

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2007/10/01

『NO.6 #6』あさのあつこ

深い闇を分け入って辿り着いたのは、ネズミが元いた場所。
NO.6の矯正施設の下に人々は暮らしていた。
そこで出会った老と呼ばれる人物からNO.6の始まりを聞き、同時にネズミの過去の一部も知るところとなった。

全ての武力を放棄し友好と理解と信頼に結ばれ創られた六つの都市。
中でも最も豊かな自然に恵まれ、その自然の恵みと人類の叡智と科学技術を駆使して建設された理想都市NO.6。
しかし、その成り立ちが侵略と殺戮のうえに築かれたものであったという真実を紫苑は知る。

これまで何度もネズミに価値観を覆され続けてきた紫苑だが、今回の事実はこれまでのどれよりも衝撃的だった。それでもネズミの真実を知りたいという渇望が紫苑を突き動かし、惨い過去から目を背けさせなかった。
自分にとってどんなに痛い真実であろうと、自分が尊敬し目標とするネズミという人間を理解するために全身で受け止めようとする紫苑の姿に胸が熱くなった。自分は弱いと卑下しているが、真実を真っ向から捕らえようとするその姿勢はなかなか真似できるものではないよと伝えてやりたい。
ネズミもそうだが、紫苑も同様に希有な存在だと。

矯正施設を破壊しNO.6を崩壊させるためにイヌカシや力河も行動を開始した。
一方、NO.6でも何かが動き始め、大きなうねりが生まれようとしている。沙布の現在の姿にも不安が募るところで、次の展開がとても待ち遠しい。

NO.6〔ナンバーシックス〕#6 (YA! ENTERTAINMENT)NO.6〔ナンバーシックス〕#6 (YA! ENTERTAINMENT)
あさの あつこ 影山 徹 北村 崇

講談社 2007-09-22

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2007/08/31

『文庫版 NO.6 #3』あさのあつこ

紫苑と暮らす事で少しずつ自分の日常が変わっていく、無意識のうちに相手の事を考えてしまっている、それらの行動はネズミにとっては命取りになりかねないくらいの危機を招く。

イヌカシはネズミもただの人間であると彼に教えようとした、だが指摘されるまでもなく、その危うさは十分知っているのだ。
それでもなお紫苑が何の代償もなく救いの手を差し伸べてくれたおかげで自分は救われたという事実がネズミの心に鮮明に焼き付いている。

お互いに対等でありたいと望む紫苑と、彼を庇護対象として見ているネズミのバランスが少しずつ変化を見せる。
理屈なしに惹かれあっている二人の熱い応酬に思わずドキドキさせられた。

NO.6 [ナンバーシックス] ♯3 (講談社文庫)NO.6 [ナンバーシックス] ♯3 (講談社文庫)
あさの あつこ

講談社 2007-08-11

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2007/02/18

文庫版『NO.6 #2』あさのあつこ

必死で追っ手を出し抜いて、ネズミとともに西ブロックへと逃げ込んだ紫苑。ほっと息をつく間もなく、紫苑の躯に変化が起こる。激痛に耐え、ようやく死の淵から生還した紫苑の姿は痛ましいくらいに変わっていた。
現状を嘆くことなく、己の行動に後悔はしないと言い切った紫苑の強さにネズミは密かに怖れを抱く。
お互いの考え方やものの見方の違いに驚き、反発し感動を覚えながら二人の暮らしが始まった。
自分の目で見て、自分の頭で考え、判断することをネズミから教わった紫苑は、ネズミに甘ちゃんと嘲られながら、新しい環境での経験値を積んで少しずつたくましくなっていく。


「おれとNO.6、どちらを選ぶ?」と紫苑に問うネズミ。
NO.6を憎んでいる口ぶりのネズミの過去にいったい何があったのだろうか…!?

ますます深まる謎にどんどん嵌っていくのがとても快感(笑)

NO.6 #2
あさの あつこ〔著〕
講談社 (2007.2)

講談社BOOK倶楽部の特集サイト:NO.6[ナンバーシックス](ネタバレな部分もあるので要注意)
過去の感想はこちら→NO.6 #1〜#3

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2007/02/17

文庫版『NO.6 #1』あさのあつこ

つい先日、文庫版の2巻が発売になった。加筆・訂正してあることを知って慌てて1、2巻を同時購入。
文庫版の薄さに驚いたと同時に、これだけの中に、熱く心を揺さぶられる世界が広がっていることに感動する。

聖都市とまで呼ばれた理想郷、科学の粋を集めた未来型都市NO.6。
2013年9月7日、12歳の誕生日を迎えた紫苑は、嵐の庭で自らその運命を呼び込んだ。

2歳の検診で最高ランクに認定され、以来最高の生活を約束された紫苑と、彼の前に現れたVCと呼ばれる凶悪犯罪者に認定されているネズミ。
本来ならば何の接点もない二人の少年が出会うことになったのは、運命としか思えない。
嵐の夜に傷ついたネズミを助けた紫苑は、4年後ネズミに救われることになる。
多くの謎を抱えたネズミ。聖都市NO.6の隠された真実。死の淵に落ちた紫苑の命運は…!?

修羅場をかいくぐってきたネズミの辛辣な言葉に、必死で向き合う紫苑の会話がとても好きだ。
未読の方は是非この機会に!

講談社BOOK倶楽部の特集サイト:NO.6[ナンバーシックス](いろいろとネタバレな部分もあるので要注意)

NO.6 #1
あさの あつこ〔著〕
講談社 (2006.10)

過去の感想はこちら→NO.6 #1〜#3

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2006/09/16

NO.6 #5

「人狩り」によってNo.6の内部への侵入を果たした"ネズミ"と"紫苑"。
矯正施設で繰り広げられる目を覆うような惨劇に紫苑は言葉も出ない。
想像を遥かに超える出来事に己の認識の甘さを思いながら、それでも最初のうちは起こる全ての出来事に心を痛めていた紫苑だった。が、次第にその感覚は麻痺し自分自身をも見失いそうになっていくのだった。
その様子を傍らで見ているネズミは、こんな状況におかれても普段と変わらない紫苑に対して苛立ちや怒りといった感情を隠せない。紫苑の危機感のなさに苛立つのは仕方がないが、自分が凄惨な状況を目の当たりにして傷つく紫苑を見たくないという複雑な気持ちがより一層その気持ちに拍車をかけるのだ。それは、その事実を認めて素直に受け入れられないネズミ自身へと向かう。
キツい言葉で紫苑を叱咤するネズミだが、その根底にあるのはどうしようもないくらい彼に心を奪われている自分があった。「次はないぞ!」と紫苑に言いながら、いざ紫苑が自分を捨てていってくれと告げた時にとった彼の言葉がそれを如実にあらわしていると思う。
紫苑の相手への気持ちを素直に言葉に出来る強さが、ネズミにとって必要な時があるのだ。

一方ロストタウンに残され、奮闘するイヌカシの姿が微笑ましい。No.6の矯正施設での血なまぐさい惨劇とは対照的だ。
何やら異変が起きているらしい沙布については思わせぶりな会話が交わされるだけで、それが一層不気味な予感を思い起こさせる。とりあえず命はあるようだが、それがどんな形であるのか…五体満足なのか…と悪い方へばかり考えてしまう。

ラスト近くで登場した新たな人物によってネズミの過去が明らかにされるのだろうか、また紫苑のとった意外な行動に言及するネズミのセリフはいったい何を意味するのか?
悶々としながら次巻を待つ。

No.6 #5
あさの あつこ〔著〕
講談社 (2006.9)

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2005/09/17

NO.6 #4

沙布を助けるためにNO.6の闇の部分へ挑もうと画策をはじめるネズミ、紫苑、そしてイヌカシ、力河の4人。

生きるために愛に通じるすべてのものを否定しなければならなかったネズミ。
一方、惜しみない愛を注がれて育ったに違いない紫苑。
お互いをかけがえのない存在と認めつつも二人はこんなにも対照的だ。
あくまでも自分自身のためと言いながら「他の誰よりきみを失うことを恐れている」と率直に告げることのできる紫苑は、もしかすると誰よりも強いのかもしれない。
彼の真摯な言葉はネズミを絡めとる枷となるのか、力となるのか…
二人の会話シーンは読んでいてゾクゾクする。

NO.6を我がものとし、人の命さえも意のままに操ろうとするシティのトップたちが不気味だ。
ネズミ、紫苑、火藍(紫苑の母)そして市長と白衣の男。今は明らかにされていないだけで、きっと彼等は見えない糸で繋がれているのだろう。

本当の闘いはいよいよこれからだ。彼等は生き延びることができるのだろうか。

No.6 #4
あさの あつこ〔著〕
講談社 (2005.8)

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