慰安旅行に連れてって!~許可証をください!2~
喜美津化学の工場を舞台にした第2作目。
<慰安旅行に連れてって!>前後編と
工場から排出する総合排水の症状が悪化の一途をたどり,汚染物質の濃度が基準値を超えるまでになっていた。このままでは操業停止になってしまうと品質保証部の阿久津弘は必死で対応策を考えていた。
そして彼が最終手段として提案したのは,工場内の埋設配管の総掘り起しという途方もないものだった。製造部の者たちからは無理だと一蹴されてしまうのだが、立入検査を1ヶ月後に控えてここで引き下がるわけにはいかなかった。必死で説得に当たる阿久津だが、現場の者たちはなかなか納得してくれない。そんな膠着状態にあって主導権を握り話を阿久津の望む方へと導いてくれたのは製造部の若頭とよばれる前原健一郎の一声だった。
前原に助けられたことに感謝しながらも阿久津は何とも言えない無力感を覚えた。
阿久津の男として,また仕事人としての心理に気付かない前原がもどかしい。もっと想像力を駆使して阿久津の気持ちを思ってほしい。
操業停止を賭けたタイムリミットが一ヶ月後,また前原の大卒資格取得のための通信教育の申し込み〆切に加えて、喜美津化学の5年に一度の慰安旅行も約一ヶ月後に迫ることになった。もしも工場が操業停止になれば会社も慰安どころではなくってしまう。全ての決着が一ヶ月後という緊迫感の中で話は進んでいく。
阿久津は工場長らから前原に大卒資格を取るように薦めてほしいと相談を持ちかけられる。学歴で前原の価値が決まるわけではないと自分自身も迷いながら前原に話をしてみるが,うまく自分の気持ちを伝えられず結局話は物別れに終わってしまう。
また阿久津を自分が庇護するものと決めてかかっている節のある前原の何気ない言葉に猛烈な反発心を抱いた阿久津は「もう、君とは、寝たくない」と前原に告げる。穏やかそうに見えながら阿久津はとても負けず嫌いだ。
自分が前原に投げつけたひと言から二人の間に距離ができて、日に日につのる前原への気持ちを抱えながらも必死で工場のために働く阿久津がなんとも切ない。
天然で理論武装している阿久津と直感と本能で生きてきた前原が理解し合うにはまだまだ時間が必要なのだろう。それでもお互いに牽制し合いながら相手の魅力に取り憑かれていくのを止められない。気持ちが通じ合っても馴れ合わない二人のこれからが楽しみだ。
| 固定リンク




コメント