『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
とても刺激的な物語だった。
ある日突然、犯罪者に仕立てられる。それも首相暗殺の犯人として。
こんな恐ろしいコトが自分の身にもしも起きたら…と想像するだけで背筋が寒くなる。
姿の見えない大きな悪意から逃れようと必死にあがく主人公"青柳"の姿は、お前ならどうする?と問いかけてくるようだ。
キィワードは、監視と無関心と情報操作。
見知らぬ他人はもちろん、知り合いさえも信じられなくなりつつある状況の中で、それでも一縷の望みをかけて信じようとする青柳に感嘆する。
普通に市井を生きる1人の人物が、巧妙に仕組まれたシナリオに則って陥れられていく展開を見ていると、今の世の中なら、もしかしたらこういうことが実際に行われているかもしれないと思わせる説得力があり、恐ろしさ倍増だ。
冒頭で繰り広げられる会話劇からほんの些細な出来事、末端のどうでもいいと思われるようなセリフまで、すべての事象がクライマックスに向かって収束していく。
先の読めない不安と緊迫感と感動が一緒くたになって結末をむかえる小気味良さは格別だ。
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